【井熊コラム#28】豪雨が問いかける、これからの対策のあり方

· 井熊コラム

お盆休みの真っ最中の8月13日、自宅のある千葉県で線状降水帯による記録的な豪雨が発生し、レベル5の大雨特別警報が発表されました。県内各所が冠水し、死者13人、浸水被害約1500棟という甚大な被害が発生しました。亡くなられた方に対して心よりご冥福をお祈りいたしますと共に、被害に遭われた方に心よりお見舞いを申し上げます。

一時間に100ミリを超える猛烈な雨が降り、千葉市では一日の雨量が平年の8月一か月分の3倍に達したとされます。下水道は一時間50ミリ程度の雨量を想定して設計されることが多いため、これだけの雨が降ると受け入れができません。東京都は想定雨量を50ミリから75ミリに見直したとされていますが、容量を5割嵩上げするには巨額の資金が必要になります。それでも100ミリを超える雨量を受け入れることは難しいのです。

日本では地震、津波、火山の噴火などによる大災害が想定されていますが、気候変動に伴う台風や豪雨の強大化は、毎年のことでもあり、直面する最大級の脅威と言えます。対策が限られていることも問題です。

日本人は山と海に挟まれた土地で、台地と低地が入り混じる地形を活かしながら自然と共生してきました。自宅近くには貝塚がありますが、これも水害を避けつつ海や河川の恵みを受けてきた歴史の痕跡です。

しかし、人口が増え、経済活動が活発になったことで、低い土地が開発され、沿岸が埋め立てられ人間の生活圏が広がりました。同じような構造は日本中にあります。こうした生活圏の拡大を可能にしたのは土木、インフラなどの技術力です。

一方で、技術には設計条件があり、条件を超える事態になれば役割を担うことができなくなります。技術的には設計条件を嵩上げして自然の脅威に対応するという考えも有り得ますが、生活圏の拡大があまりに大きかったため、社会的、経済的に現実的と言えません。また、気候変動に伴う自然の脅威がどこまで拡大するか分からない以上、適切な設計条件を設定することも容易ではありません。

こうした中でも、いくつかの対策が考えられます。一つ目はAI、ITの技術を駆使して気象予測の精度を高めると共に、リアルタイムの避難情報を提供し、迅速で正確なリスク回避を促すことです。その上で、二つ目として、リスクの特に高いところに土木、インフラ面の投資を集中することです。三つ目として考えられるのは、人口減少が見込まれる地域では、無理のない範囲で、安全な土地に生活圏を移行していくことです。

記録的と言われる豪雨が毎年のように発生するようになっています。日本中で迅速な対応が進められていくことを期待します。