2026年度に入っても企業業績や株価に力強さが見られる一方、金利上昇が投資や資金調達環境を変えつつあります。10年物国債の金利は3%に達しTIBOR(東京銀行間取引金利)も1%半ばとなっています。案件によっては借入金の金利が4%を超えるケースも出てきます。
株価が6万円を超え世間はAI関連の投資がどこまで続くかに関心が集まっていますが、金利の上昇は経済に確実な影響を与えます。回収期間が長い案件や価格転嫁力の弱い案件は採算の確保が難しくなります。半導体関連の投資ブームに煽られているせいもありますが、世間が金利の影響に大騒ぎしていない理由の一つは、低金利とデフレが長く続いてきたからかもしれません。
最近のTIBOR水準は30年ぶりとされます。今のような物価上昇と金利を踏まえて投資計画を検討したり、企業業績を評価してきた人は限られるということです。物価上昇と金利のある投資計画では、費用も収入も様々なパターンが考えられるので、一般に、ゼロ金利、デフレ時代より複雑な検討が必要になります。私はこの世界に30年以上いますが、30年前と比べると財務分析の手法は格段に高度になっているので、複雑さは一層増しています。
既に一部の企業では金利高を考慮した資金調達を開始していますが、本質的な問題は投資先の事業評価にあります。資金調達環境が変わることで資金繰りが苦しくなったり、収益が低迷する事業が随所に出てくるからです。多くの企業は金利高の中でも成長に向けた積極投資の姿勢を維持しています。しかし、30年ぶりの金利高という環境を慎重に捉えるのなら、攻めの姿勢を維持しながらも、金利高が投資先の事業環境に影響を与えるプランB、さらにはコロナ以来の金融緩和の本格的な収束を踏まえたプランC、などを考慮した事業戦略を練っておくべきなのでしょう。
金利高のリスクの一方で、フィジカルAIなどで世界経済が稀有な成長ステージにあることも確かです。企業経営者の見識と手腕が問われる時代になったと言えます。

