2026年10月16日、株式会社RICHは、オンラインイベント「北陸企業の生成AI活用の現在地~事例に学ぶ、経営と新規事業への活かし方~」を開催しました。本イベントは中小企業庁「令和8年度イノベーション・プロデューサー実証事業」の一環として実施したものです。北陸企業の実践者3名によるパネルディスカッションを中心に生成AIの活用や課題を考えました。
データで見る北陸企業のAI活用状況
イベントの冒頭では、RICHより全国・北陸のデータを紹介。総務省「令和8年版情報通信白書」では、中小企業の約2割が積極活用、約4割が限定利用の方針となっています。
石川県中小企業団体中央会の調査では、積極的な業務活用は5.6%、一部業務での活用は38.9%となり、全国調査とは対象や設問が異なるものの、保守的な傾向が見られました。一方、本イベントの参加申込者では、所属企業が積極活用の方針という回答が半数を超えました。

生成AIと向き合う現場の試行錯誤
パネルディスカッションの最初に、北菱電興株式会社 アグリDX事業開発室室長の松田夕貴氏は、部署のメンバー全員に生成AIのライセンスを付与していると紹介。また、全社のガイドラインに基づき、機密情報の扱いなどを確認し、申請・承認を経て利用していると説明しました。

株式会社地域みらい技術部の磯見稚子氏は、若手を中心とした有志のチームで、業務の合間に使い方を探っていると紹介しました。AIでコードを作り、経験の浅い人でも使いやすいCADメニューを試作するなど、属人化の解消を目指す一方、利用経験の差やルールづくりといった課題も共有しました。

経営・新規事業にどう活かすか
次のトークテーマで松田氏は、新規事業のアイデアを壁打ちし、市場や競合、コスト、販売方法などの検討の抜け漏れを補うという生成AIの使い方を紹介。説明資料のたたき台も素早く作り、限られた人数で検討や情報共有を進める活用法を語りました。最後の意思決定や人との合意形成は人間が担い、AIで生み出した時間を、事業の方向を考え、仲間と話し合う時間に充てるという視点を示しました。
地域みらい企画営業部の尾﨑利充氏は、同社が強みとする三次元計測技術に着目。正確な空間・地形データの提供を通じ、AIの安全な運用を支えるビジネスの可能性を紹介しました。自社の技術やデータをAI分野の事業につなげる発想も共有されました。

中小企業ならではの活用を考える
最後のトークテーマでは、人手やスキルが限られる中小企業の生成AI活用に話題が広がりました。特定の人にしかできない業務をAIで標準化する考え方と、周辺業務を任せてその人の強みを伸ばす考え方が交わされました。磯見氏は、誤字脱字の確認など、身近な作業から使い始めることを提案しました。
イベント後のアンケートでは、次のような感想やご意見が寄せられました。
- 登壇者の方々生の声が聞けて、とても参考になりました
- 北陸の中小企業の皆さんのアンケートが見れてよかった
- 北陸の生成AIの現在地が知ることができ大変ためになりました。登壇者様から色々なご意見を聞きながら自分にも当てはめながら視聴させていただきました
- 中小企業にとっては新規よりも既存の業務がテーマの方が興味ありそう
- もっと幅広く北陸企業の事例を見てみたい
- 北陸の中小企業におけるAI活用の定量、および考え方が良く分かりました。
今回のパネルディスカッションでは、身近な業務から試し、自社に合う使い方を見つけていく姿勢が共有されました。AIに任せる仕事と、人が判断し力を注ぐ仕事を見極めることは、限られた人材で業務を改善し、新たな事業に挑むための土台になります。各社の実践と率直な試行錯誤を、自社の次の一歩を考えるきっかけにしていただければ幸いです。

