【井熊コラム#26】株価高騰の正体は、AIバブルかインフラ投資か

· 井熊コラム

日本の株価が高騰を続けています。東証の株価は、かつて、「二度と超えることがないだろう」、と言われていた1990年前後の不動産バブル時代の最高値の二倍近い額に達しています。株価高騰の原因はAIへの期待の高まりです。特に、AI需要を見込んだデータセンターへの莫大な投資が幅広い分野に影響を及ぼしています。

私のように不動産バブルを経験した世代は、頭のどこかに、「今回の株価の高騰もバブルに違いない」、「いずれ急落する」、という思いがあります。北陸にも半導体素材、製造装置、電子部品など、AIやデータセンターに関わる企業群が立地しているので、データセンター投資の行方は他人事ではありません。

AI関連の投資にバブルの要素が無いとは言い切れませんが、不動産バブルと間違いなく違う点もあります。

不動産バブルの時代に不動産開発の事業計画をいくつか書きましたが、当時は大した市場予測も無く、作れば売れる、という想定で収支を計算していました。経済を底上げするような技術革新があった訳でもありません。

この1、2年で株価が急騰した一つの理由は、多くの人がAIによって仕事が劇的に変わることを実感したからです。まもなく世界中の人が日常的にAIを使うようになるでしょう。そのためには、AI用のインフラを世界中に整備しなくてはなりません。それがデータセンターと言えます。

こう考えると、昨今の株価急騰と比べるべきなのは、不動産バブルではなく、自動車の普及による世界的なモータリゼーションかもしれません。

モータリゼーションは生活や産業を劇的に変えました。それを支えたのは世界中津々浦々に建設された道路網です。道路は人類が作り上げた史上最大の建設物と言われます。モータリゼーションは環境問題、鉄道や飛行機との競争、最近ではオンライン、など様々な逆風を受けましたが、今でも世界中で道路建設が続いています。AI用のインフラが道路に匹敵する規模になるのだとすれば、驚くほどの勢いで拡大しているデータセンター投資も新たなインフラ建設の入り口に過ぎないのかもしれません。